ノンキャリア教育としての職業指導
高等学校における教育目標は3つあります。
1つ目は義務教育として行われる普通教育の成果をさらに発展拡充させて、豊かな人間性、創造性及び健やかな身体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うことです。
2つ目は社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させることです。
3つ目は個性の確立に努めるとともに、社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うことです。
高等学校段階では自信の喪失、ストレス耐性、社会性の未熟さが課題です。
これらの課題を克服するために集団の場面で必要な指導や援助を行う「ガイダンス」や一人一人が抱える課題に個別に対応した指導を行う「カウンセリング」が行われるようになりました。
高等学校のキャリア教育はPDCAサイクルに沿って行われています。
P(計画)はキャリア教育の全体計画を作り、進行されています。
しかしながら、これを行っているのは7割の高等学校に留まっています。
D(実行)ではキャリア教育を効果的に展開するために各教科・科目等でも取り組む、関連性の理解、指導案の作成や教材の創意工夫を行うようにしていますが、3割ほどの学校しか実践できていないのが現状です。
また、社会・職業への移行準備を行う必要性がありますが、実際に就業体験などを行っている学校は極めて少ないのが現実です。
その他、卒業後の離職や失業などのリスクに向けた学習・指導がなされていないことも問題になっています。
C(評価)、A(改善)は生徒の成長や変容といった学習状況に関する評価、教育活動としてキャリア教育全体の評価に基づき行われました。
また、生徒自身の省察を促進し、自らの成長を実感させる、教育活動やその計画の質の改善につなげることが重要視されました。
最後に高等学校におけるキャリア教育の展望として卒業時に社会人・職業人としての自立を期待される年齢に達することを意識、最終年次の生徒が自分なりの職業観をもって次なる進路に一歩踏み出せるよう、進路指導とも連動しながら進めていくことが明示されました。
今回の講義では高等学校のキャリア教育について十分に理解することができました。高等学校ではPDCAサイクルを利用することで積極的なキャリア教育の方向性の明確化がなされました。
今後は多くの学校がこれらを実践していく必要があるのではないかと感じました。