アスコルビン酸の定量実験レポート 参考例 



今回は僕が実際に書いたレポートを公開しようと思います。ぜひ参考にしてください。
1. ジビリジル(DP)法
目的
 大根中のAsAを定量すること。



   原理
 酸性下でAsAにFe³⁺がFe²⁺に還元される。これにα,α-ジピリジルを加えると、1molのFe²⁺3molのα,α-ジピリジルと反応して赤橙色の安定のキレートを生成する。これを波長525nmで比色定量することにより、AsAの量を求める。

   方法
  試薬
・5%トリクロロ酢酸(TCA)溶液…劇物(調整、使用の際は保護メガネを使用)
  TCA150gを水に溶解して3Lにする。(7班分)
・1%α,α-ジピリジル溶液(当日、用事調製)…60℃の恒温槽に入れておく。
  α,αジピリジル2.0gを加温しながら水に溶解し、200mlにする。(7班分)
・3%塩化第二鉄水溶液(当日)
  塩化第二鉄0.9gを水30mlで溶解する。(7班分)。
・リン酸
  試薬特級(分析値85%以上)をそのまま用いる。
・AsA標準液(25μg/ml,当日)
① [7班で1つ]25㎎を5%TCA溶液で100mlに定容する。(250μg/ml)
② [班で1つ]①を10ml分取し、5%TCA溶液で100mlに定容する。(25μg/ml)
  実験操作



1. AsA希釈溶液の調製
下表のAsA標準液の希釈系列を作製する。
表1.AsA標準液の希釈
   AsA濃度 0 1 5 12.5 25
AsAの標準液(mL) 0 1 2.5 5
5%TCA溶液(mL) 5 4 4 2.5 0
5μg/mL AsA溶液(mL) 1



2. ダイコン試料液の調製
1) ダイコンの皮をむき、すりおろす(非金属性のピーラー、おろし器を使用)。
2) 10.0g秤取する(100mL ビーカーを使用)。
3) 5%TCA溶液を50mL程度加える。
4) 一分間攪拌後、これを100mLメスフラスコにろ過(東洋ろ紙 No.2→No.6)する。
5) 5%TCA溶液で100mLに定容する。
3. 反応と測定
1) 各濃度のAsA希釈溶液1mLを試験管1本ずつに、ダイコン試料液1mLを試験管3本にとる。
2) 1)の各試験官にリン酸0.1mL、1%α,α-ジピリジル溶液0.8mL、3%塩化第二鉄溶液0.1mLを順次加える。なお、各試薬を添加する度にボルテクスで十分に混和する(不十分だと白濁し易く、また塩化第二鉄との反応以前にAsAが酸化される恐れがある)。
3) 30℃の恒温槽で15分間インキュベート後、水冷する。
4) 各試験官に水を2mLずつ添加する。
5) 525nmにおける吸光度を測定する。
   結果
① AsA濃度と525nmにおける吸光度の関係を求める。
ダイコン① ダイコン② ダイコン③ AsA濃度
1μg/mL   AsA濃度
5μg/mL AsA濃度
12.5μg/mL AsA濃度
25μg/mL
吸光度 0.236 0.238 0.212 0.021 0.222 0.542 1.029
この相関係数をExcelを使って求めると、0.999となり、正に強い相関があることが分かった。



② ダイコン試料のAsA含量(㎎/100g)を求める。

 三回の結果の平均は0.229
 三回の標準偏差は√(0.007)²+(0.009)²+(0.017)²=0.020
 この結果をグラフから、5.16μl/mL
 これを㎎/100gに直すと、使った試料は10.0gだから、
 5.16(㎎/100g)
 
   2.インドフェノール(IDP)法
   目的
 AsA含量を求めること。

   原理
 AsAが酸性溶液中で2,6-ジクロロフェノールインドフェノールを速やかに定量的に還元し、自らはDAsAに酸化される反応を応用したものである。2,6-ジクロロフェノールは、酸性条件下で酸化型は紅色、還元型は無色である。アスコルビン酸(試料溶液)を滴下して、2,6ジクロロフェノールインドフェノールを酸化型から還元型に変化させ、色の消失を終点とし、別に濃度既知のAsAで2,6=ジクロロフェノールインドフェノールを滴定し、この滴定量と試料溶液の滴定量の比から試料中のAsAの量を求める。特別な装置を必要としないので広く行われているが、滴定に熟練を要すること、AsA以外の還元性物質の影響を受けやすいことが難点である。



   方法
  試薬
・5% メタリン酸溶液
   125gを水に溶解して2.5Lにする。
・2% メタリン酸溶液
   50gを水に溶解して2.5Lにする(×2)。
・0.001N ヨウ素酸カリウム(KIO₃)標準液(当日)
① [7班で1つ]KIO₃35.7㎎を、水で100mLに定容する。
② [班で1つ]①より10mL分取し、水で100mLに定容する。
・6% ヨウ化カリウム(KI)溶液(用事調製)
   6.0gを水100mLに溶解する(7班分,アルミホイルで遮光した瓶に入れる)。
・1% デンプン指示薬(調製済み)
   可溶性デンプン1.0gを水100mLに懸濁後、沸騰水中で加熱して溶解させる。
・AsA標準液(当日)
① [テーブルで1つ]100㎎を精秤し、2%メタリン酸溶液で250mLに定容する(400μg/mL)。
② [班で1つ]①より25mL分取し、2%メタリン酸溶液で250mLに定容する。(40μg/mL)
・インドフェノール液(当日)
   2,6-ジクロロフェノールインドフェノールナトリウム12.5㎎を水に溶解して500mLにする。(7班分、冷暗所保存)



   方法
1. AsA標準液の濃度検定
1) AsA標準液20mLに対して6%KI溶液を2mL加えた後、1%デンプン指示薬を2mL程度添加する。
2) 0.001N KIO₃標準液で滴定する(3回)。青紫色呈色を終点とする。
20mLのAsA標準液を滴定するのにCmLのKIO₃標準液を要した場合、AsA濃度は以下の式で計算される。
   AsA濃度=0.0044C(㎎/mL)…(式1)

2. ダイコン試料の調製
1) ダイコンの皮をむき、すりおろす(非金属性のピーラー、おろし器を使用)。
2) 15.0gを秤取し、5%メタリン酸を40mL程度加える。
3) 一分間攪拌後、100mLメスフラスコにろ過(東洋ろ紙No.2→No.6)する。
4)5%メタリン酸で100mLに定容する。



3. AsA濃度の測定
1) インドフェノール液10mLダイコン試料溶液で紅色で滴定する(3回)。
2) 1)と同様にして、AsA標準液で滴定する(3回)。3回の滴定は可能な限り同様に行う。
なお、同量のインドフェノール液をAsA標準液、試料溶液で滴定したとき、それぞれの滴定値がA(mL)、B(mL)、試料溶液のアスコルビン酸濃度がn(㎎/mL)であったとすると、以下の関係式が成り立つ。
     A×0.0044C=B×n
     n=A×0.0044C/B(㎎/mL)…(式2)
  AsA標準液とKIO₃標準液の滴定
  1回目 1.25mL→11.92mL   10.67mL
  2回目 11.92mL→22.46mL   10.54mL
  3回目 22.46mL→33.09mL   10.63mL これを平均すると、10.61mL
 ゆえに、これを式1に代入して、
 0.0044×10.61=0.0467
 求めるAsA濃度は0.0467(㎎/mL)



  ダイコン試料とインドフェノール液の滴定
  1回目 0.22mL→17.55mL   17.33mL
  2回目 17.55mL→35.76mL   18.21mL
  3回目 9.94mL→29.43mL   19.49mL
  平均をとると、18.34mL
  AsA標準液とインドフェノール液の滴定
  1回目 0.70mL→3.51mL   2.81mL
  2回目 3.51mL→6.39mL   2.88mL
  3回目 6.39mL→9.21mL   2.82mL
  平均をとると、2.84mL
 これを式2に代入すると、
 2.84×0.0044×10.61/18.34=0.0072
 ゆえに、求めるアスコルビン酸濃度は0.00723㎎/mL
 これを㎎/100gに直すと、7.23(㎎/100g)

   共通課題
1. DP法とIDP法で得たAsA含量の有意差検定(F検定後にT検定。危険率5%で行い、結果等を考察する。
各班の結果を用いると以下のような結果になる。
DP法 IDP法 F-検定: 2 標本を使った分散の検定
8.138 4.767
5.317 5.515   変数 1 変数 2
5.16 7.23 平均 6.1915 5.450666667
5.321 4.97 分散 1.5913979 0.825727067
7.393 5.232 観測数 6 6
5.82 4.99 自由度 5 5
観測された分散比 1.927268663
P(F<=f) 片側 0.244402558
F 境界値 片側 5.050329058  

t-検定: 分散が等しくないと仮定した2標本による検定

  変数 1 変数 2
平均 6.1915 5.450666667
分散 1.5913979 0.825727067
観測数 6 6
仮説平均との差異 0
自由度 9
t 1.167203518
P(T<=t) 片側 0.136560573
t 境界値 片側 1.833112933
P(T<=t) 両側 0.273121145
t 境界値 両側 2.262157163  



2. (調査)ヒドラジン-HPLC法の概要を調べる。
ビタミンC (化学名: アスコルビン酸) は2,4-ジニトロフェニルヒドラジンとは反応しないが、アスコルビン酸の酸化で生じるデヒドロアスコルビン酸はジニトロフェニルヒドラジンと反応して呈色する(着色化合物になる)。また、2,3-ジケト-L-グロン酸も同様に呈色する。無処理のサンプルに2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを加えれば、デヒドロアスコルビン酸と2,3-ジケト-L-グロン酸の両方が反応して呈色する。これを定量すれば、酸化型ビタミンC様分子の量(A)が分かるが、2,3-ジケト-L-グロン酸による呈色も含まれていることに注意する。あらかじめ2,6-ジクロロインドフェノールを加えてアスコルビン酸をデヒドロアスコルビン酸に酸化しておけば、2,3-ジケト-L-グロン酸と一緒に呈色する。これが総ビタミンC様分子の量(B)を反映しており、実際は[アスコルビン酸+デヒドロアスコルビン酸+2,3-ジケト-L-グロン酸]による呈色の合計になる。はじめにDTTを加えてデヒドロアスコルビン酸をアスコルビン酸に還元しておけば、2,3-ジケト-L-グロン酸(C)だけが呈色します。酸化型ビタミンC様分子の量(A)-2,3-ジケト-L-グロン酸の量(C)=デヒドロアスコルビン酸の量になる。総ビタミンC様分子の量(B)-酸化型ビタミンC様分子の量(A)=アスコルビン酸の量になる。ということで、アスコルビン酸(ビタミンC)の量と、デヒドロアスコルビン酸(酸化型ビタミンC)の量が計算できる。
3. DP法とIDP法で得たダイコンのAsA含量を「食品成分データベース」のビタミンC量と比較し、結果について考察する。
食品成分データベースによると、ダイコン100gに当たりに含まれるビタミンC量は7㎎であり、DP法で調べた結果よりも大幅に大きい。これはDP法による計算方法に問題があったと考える。


 参考文献
http://vitamincjp.blogspot.com/2012/03/c_5414.html