新時代のキャリア教育と職業指導: 免許法改定に対応して
1947年に学校教育法が制定されました。
そこには中学校と高等学校の教育目標が記載されており、中学校は社会に必要な職業についての基礎的な知識と技能、高等学校は個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な技能を習熟させるという明確な職業指導の目標が明示されました。
まず、中学校について細かく見ていきます。
中学校では必修科目として「職業科」が導入されました。
これにより農業、工業、水産、商業、家庭のうち1つ以上を履修しなければならなくなりました。
この目的は勤労の態度、職業選択の能力の形成です。
また、選択教科としての「職業科」も導入されています。
これは特定の職業の専門的な知識・技能の習得を目的とされています。
ここでの職業指導は「個人が職業を選択し、その準備をし、就職し、進歩するのを援助する過程」として定義されました。
職業指導の扱い方については職業指導単独の時間の確保や科目と融合しての指導など様々で明確に定められていません。
1949年に文部省から「新制中学校の教科と時間数の改訂について」「中学校職業科及び家庭科の取り扱いについて」通達がなされました。
これにより、「職業科及び家庭科」は各学年週3~4時間3年間で3分野の履修などが定められました。
その後、1951年、1957年に中学校学習指導要領は若干の改訂がなされました。
次にホームルーム活動における職業指導についてです。
1949年に「新制中学校の教科と時間数の改訂について」通達がなされました。
これによって、「自由研究」が廃止され、「特別教育活動」が新設されました。
また、ホームルーム活動で週に1時間以上職業指導を行うことが規定されました。
その後、1957年に大きな変革が起こりました。
それは職業指導から進路指導への名称の変更です。
この変更の意図は当時の学校における職業指導が職業紹介であると誤解される傾向が強く、本来想定されていた職業指導が実践されなかったということです。
教師が職業紹介を行うと青年の労働保障の問題や学校における職業実践の矮小化の問題が生じるため変更に踏み切られました。
その後、高等学校進学率が大幅に上昇し、競争が激化し、高校浪人者が出るという問題が起きました。
その後、偏差値による高校のレベルのランク付けがなされ、現在のような高校間の格差が生まれるようになりました。
今回の講義で職業指導は多くの改訂を経て、今の進路指導に行きついていること理解することができました。
今後は教育格差の是正などの諸問題を解決するための方法を見いださなければならないと感じました。